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BLOG: YUKIKO OTAKE

心と感性を磨いてくれる素敵なものたちとの出会いを綴る大竹祐希子のブログ

 

受け継がれたコート

2017.03.21 Tue.

Blog, Otake

 

 

一昨年の 春、主人の親元を 訪れたときのこと

2階にいる義父から、おーい、と呼ばれた

クローゼットの前に掛けられた 一枚のコート

 

よかったら、着てもらえるか?

と 義父が主人に言った

 

年季は入っているけれど、

きちっとプレスされた シミひとつない そのコートは

まじめで誠実な 義父の性格を 表していた

 

ぜひ 着させていただきます、と わたしは答えた

 

 

それから 主人にコートの話をしても

そのうち着るから、と 長い間、クローゼットのなかで 息を ひそめていた

 

 

春の日差しを 感じ始めた ある日のこと

あの コート 着てみたら?

クローゼットの端に 掛けられ、少し 忘れかけられた そのコートを 指差した

 

未だ 少し 肌寒いから、ウールのインナーは 付けたまま

主人は 薄手のカシミヤの ニットのうえに そのコートを羽織って

私達は 京都に向かった

 

今日は 上賀茂神社に お参りに 行こう

そう言って、電車に乗り込み 主人がポケットに 手を入れたときのこと

 

あれ?  おもむろに ポケットの中から 何かを取り出した

なんだろう これ?

ティッシュに包まれた 紙のようなものだった

 

何 それ?

ティッシュを そっと広げてみると、それは 丁寧に折り畳まれた 旧びた お札だった

律儀に 三つ折りにされた そのお札を 見た時

なんとも言えない 想いが 込み上げてきた

 

 

きっと義父が 義母と旅行に出かけたときに

すぐに渡せるようにと用意した、仲居さんへの 心づけ だったのか

部下に 車で送ってもらって、お礼にと 渡すつもり だったのか

義理の父の これまで歩んできた 人への思いやりと 絆の深さに 感じ入った 瞬間だった

 

上賀茂神社は 丁度いま、式年遷宮の期間

 

私達は そのお金で 檜皮一枚を 奉納させて いただいた

両親、そして家族みんなが どうか幸せでありますように

 

 

 

父から 息子へ バトンタッチされた コート

彼の心に 確かに 何かが 受け継がれた

 

 

 

 

 

 

 

2 comments on “受け継がれたコート

  • ご主人のお父様、用意周到な方なのですね。
    受け継がれたコートもとても素敵です。

  • 彩さま
    お返事が遅くなってしまい、申し訳けありませんm(__)m
    コメントありがとうございます!
    本当に義父は、備えあれば憂いなし!と先のことを常に考えるタイプで、尊敬しています。
    人からモノから日々いろいろなことを教えられますね。コートもお褒めいただきありがとうございます(#^.^#)

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